その後の話

...and they lived happily ever after.

私はどう生きたか

観ました。君たちはどう生きるか

 

米津玄師のEDにスタッフロールが流れ、私はひとり号泣していたのだが、明るくなった劇場で左右から「え、わかった??」という感想が聞こえてきて、そうねあなたと私の地獄は違うものね、と思いながら、今この作品を観ることができたことの幸運を噛み締めていた。

 

宮崎駿作品で一番好きなのはナウシカもののけか、今でも覚えている千と千尋を劇場で観た時の、ああ、はやおはもう大人のことが全然好きじゃないんだな、もう私のために作品を作ってくれることはないのだ、という寂しさ、それ以来何を見に行くにもちょっと身構えて、やっぱりprimaryに私(というか大人全般かもしれないが)を想定されていないことを突き付けられ続けてきたように思う。本作では、子供も、大人も、この作品に向き合うことを想定されているのではないかなと思った。少なくとも私は、どう生きて、どう生きていくかということに、眞人と一緒に向き合い、反芻し、時にしくじり、狡さや過ちを積み重ね、それでも顔を上げ、今日からまた生きていくということを思い、何より宮崎駿がそれに対して絞り出すように前を向いているのだということに救いを見出した。まあそういう意味ではシンエヴァで涙を流すのに似たメタ的な何かが必要と言われればそれはそうかもねという気はします。でも間違いなくここから先の私の人生で何度も思い返す作品になったと思う。巷で言われるほどの分かりにくさはないと思うし(それで言ったらポニョとかハウルとか、みんな”分かって”た??)、私の感性に近いところにいる人なら何かしら響くものがあるのではと思っています。